大判例

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東京地方裁判所 昭和33年(ワ)127号 判決

平和相互銀行

証拠によれば、被告は、昭和三十一年七月、被告の浅草支店集金人大和田真吾が丹治タケヨから、原告が被告から融資を得たいといつていると聞いたことから同支店の調査係長栗田孝司に原告を訪ねさせ、原告に被告から融資をして貰いたいという意思があることを確かめ、且つ、融資に適するか原告の資産状態、借入金の使途及び丹治タケヨとの関係等を調査した上、原告の融資申込に応ずることになり、原告作成名義の融資申込書を丹治から受け取り、正式に原告の融資申込を受け付け、同年六月二十五日付で原告との間に日掛相互掛金契約を締結したことにし、しばらく丹治方で右契約による日掛金を集金して、同年七月二十七日、原告に対する給付金として五十万四千円を丹治に交付し、それについての弁済に関する契約をし、丹治から公正証書作成用の原告作成名義の委任状を受け取つたことを認めることができる。

右認定のように、原告が被告に対し融資を申し込み、融資をして貰いたい意思があることを言明し、その前後にわたり被告との間の現実の手続を丹治がしており、原告は丹治が融資申込手続をしていたことを認識していたという事実に、被告が相互銀行であることから、融資のために日掛相互掛金契約に基く給付の形がとられたことを合わせ考えれば、原告は丹治に対し原告の代理人として、被告との間に相互掛金契約、給付金の受領その弁済方法についての契約をすることの権限を与えたものと認めることができる。

証拠によれば、丹治が死亡した直後、本件に関し丹治の弟が原告に対して、丹治が申訳ないことをした、と謝罪していることを認めることができるが、その謝罪の趣旨は、前記認定のように、原告が自ら被告に対し融資希望の意思を言明したこと、弁論の全趣旨から本件給付金は丹治が使用したものと認めることができることからして、丹治が給付金を返済することができなくなつて原告に迷惑をかけるという趣旨で謝罪したものとみるべきであつて、右証拠にあるように、丹治が原告に無断で原告の名前で給付金を受領したものとまで認めることはできない。

そうすると、原告は被告との間に本件公正証書に記載してあるとおりの日掛相互掛金契約をし、給付金五十万四千円を受領し、その弁済契約をしたものということができる。

本件公正証書作成用の原告作成名義の委任状にでている原告の印影が原告の所持している印によつて押捺されたものであることは原告の認めるところであり、前記認定事実と相互銀行と契約をする際には、その契約について公正証書を作成するための委任状を交付することが通常のことであることとを合わせ考えれば、右委任状の原告作成名義の部分は原告が作成したものと認めることができる。よつて原告は、本件について、公正証書を作成することを承諾し、その作成を委任することを被告の選任する者に委任する趣旨の委任状を丹治を通して被告に交付し、被告は右委任状により原告の代理人に鈴木竜男を選任して公正証書作成を委任して本件公正証書が作成されたものであることが認められる。

してみると、本件公正証書は原告の正当代理人により作成委任されたもので有効であるというべきであるから、原告が異議の原因とするところはすべて理由がない。よつて原告の請求を棄却。

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